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環未境来学予の測    て「化学と宇宙」と題したセッションが催都市環境学専攻・物質環境学コースに所属する筆者の生業は、化学物質の合成である。実験用の安全眼鏡、オシャレとは無縁の地味な作業着を着用して、フラスコを振り混ぜている姿を想像していただければ、おおむね正しい。日頃の行動半径は、実験台の周辺約2メートル。30センチ先のフラスコの中身が見通せず、日々悶々とする化学屋相手に「地球を俯瞰せよ」「未来を語れ」とは、いささか困った話である。とはいえ、化学と宇宙はまるで無縁ではない。日本化学会(CSJ)が、昨年10月に開催した第4回CSJ化学フェスタ2014では、一般向けの公開企画としされている。「化学と宇宙実験 宙ステーションならではの環境とその利用」、「宇宙空間の環境と人工衛星材料」、「宇宙化学とアストロバイオロジー〜生命の起源は宇宙?〜」など、参加はかなわなかったものの、なかなか楽しそうである。筆者の研究課題もまるで無縁という訳ではない。着任来題材としてきた、サッカーボール状の炭素球状分子「フラーレン」は、星間分子の研究が誕生のきっかけとなっている。実際に、近年星間空間における存在が確認されたようである。息苦しい話題の多い教授会の帰り道、となりの地球環境科学専攻の先生からそういった話を伺えるのは、本研究科ならではの楽しいひとときである。はやぶさ2が無事打ち上げられた。地球で新物質の合成を営む化学屋として、そして、関係筋の先生が近くにいる者として、秘かに思っていたことがある。サンプル回収用のカプセルに自分が作った化学物質を乗せていってもらえないだろうか、そしてサンプル回収の前に宇宙に置いてきてもらえないだろうか。行きがけの駄賃と言ったら真顔で怒られそうである国際宇が、生命の起源をインポートとするならば、今度は是非エクスポートしてみたいものである。宇宙が誕生のきっかけとなったフラーレンに、地球で化学細工を施した自負もあるのだろう、輸入→加工→輸出で生きるなんとも日本人的発想である。関連するところで、宇宙空間での本格的な物質合成はまだ少し難しかろう。しかし、重合反応でもよぎるのだろうか、化学物質の宇宙栽培、これはできそうである。「苗代役の地球、田んぼの宇宙」、またしても国際化を叫ぶ大学にあるまじき日本臭である。化学物質の宇宙熟成、15年もの・・・少々お酒が過ぎたようである。この辺にしておいたほうがよさそうである。専門は有機合成化学。新物質の創製とともに、化学物質をいかにして『楽に』、『効率よく』、『無駄なく』作るか、ものづくりの労働・資源・環境負荷軽減に主眼をおいて研究を進めている。岩松 将一都市環境学専攻 岩松 将一 准教授宇宙へのエクスポート

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