それぞれの分野の環境予測中川 須藤 2006年から2014年までの約8年間、名古屋大学環境学研究科の招へい教授を務められたプリンストン大学研究員の真鍋淑郎先生が、昨年のれました。受賞理由は「地球温暖化を予測する地球気候モデルの開発」で、真鍋先生は大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを世界に先駆けて発表されました。そこで今回のエコラボトークは、地球温暖化をはじめとした「気候変動」や「計算機・シミュレーション」「大気■海洋結合モデル」などをご専門とされる先生方にお話をうかがいます。まずは自己紹介を兼ねて、それぞれのご研究についてお話いただけますか。私は、大気中に飛び交ういろいろな物質、エアロゾル・粒子、ガス、それらにまつわる化学反応過程をできる限り忠実に気候モデルの中に組み込み、大気汚染、地球温暖化、成層圏のオゾン層の問題など、これらをすべて同時に扱うようなコンピュータシミュレーションモデルの構築、これが一つ大きな研究の柱になっています。こういったモデルを使うと、例えば 汚染物質がどこからどれくらい飛んできているか、という越境汚染の問題や、気温変化を起こす複数の要因を定量的に切り分けるということができて、そこが一つ強みだと思っています。将来予測や温暖化の緩和策では、今は二酸化炭素ばかり注目されますが、それ以外にも、メタンやオゾンなど温暖地球規模スケールの環境予測■対流圏オゾンの鉛直積算濃度の計算例 対流圏のオゾンは、温室効果気体であり、化学反応を介してメタン等の他の温室効果気体の濃度にも影響する。また主要な大気汚染物質でもあり、大気環境・気候変動の両面で重要物質。地球環境科学専攻 教授都市環境学専攻 教授地域(都市)スケールの環境予測:名古屋都市圏における暑熱観測予測例詳細なダウンスケールモデルを使ってヒートアイランドや異常高温、集中豪雨などの要因分析や影響評価を行う。地球環境科学専攻 准教授写真左から 飯塚教授 相木准教授 須藤教授地球環境科学専攻 准教授准教授10月に「ノーベル物理学賞」を受賞さ須藤 健悟飯塚 悟相木 秀則中川 書子(司会)コンピュータ上の地球計算で挑む環境予測
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