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環未境来学の予測 タイトルはSDGsの11番目の目標に建築耐震を合わせてみました。紀元前数千年には、既にピラミッド、我が国でも竪穴住居が存在しました。そこから、人生のその時々におけるウェルビーイングに多大な貢献を果たしてきた建築、なかでも、近代から現代への過渡期に現れた鉄筋コンクリート造建物と鉄骨造建物は、この100年余りで驚異的な発展を遂げ、まち並みに大きな変化を与えました。中高層建物、超高層建物が大地震を受けるとき、構造骨組は弾性領域を超えて、梁や柱、壁などの構造部材が「損傷しながら粘る」弾塑性領域においてしなり、揺れに耐えます。大地震に対して、構造骨組に高い補修性能を確保する設計が、住み続けられるまちづくりに重要です。比較的頻繁に起きる地震に対して、建物の継続使用性は、内外装材・設備機器といった二次部材の被害に依存することも知られています。近年の取り組みから、「大地震時に基礎が滑動する機構によって上部骨組の損傷を大幅に軽減する基礎滑り構法」「内外装材・設備機器の機能維持性を大幅に向上させる耐震対策」等々、都市と人間の居住地をさらに安全、強靭かつ持続可能にする高耐震建築の設計条件が明らかになりつつあります。上記の発展を支えた先達は、時代の社会要求、向上心に応えるチャレンジに、真っ向から真摯に取り組まれました。実務の最前線に身を投じた卒業生たちが将来、こうした先達と等価な瑞々しい成果を目指せる環境整備に向けて、研究者としてさらなるトライを加速すべきフェイズと感じています。二次部材の高耐震化(7ヶ国連携)長江 拓也2014年に防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センターから、減災連携研究センターに異動。大型実験、数値解析に基づき、鉄筋コンクリート造建物、鉄骨造オフィスビル、高耐震木造住宅を対象に、幅広く建築耐震の研究に取り組む。基礎滑り機構の検証(日米共研)住み続けられるまちづくりのための建築耐震都市環境学専攻 減災連携研究センター 長江 拓也 准教授

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