環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。
公共施設マネジメントと将来ビジョン

都市環境学専攻 建築学系
斉藤 孝治 助教
本教員のプロフィール
人口減少、公共施設の一斉の老朽化、財政難など、将来に渡り維持・更新していくことが難しくなっています。こうした状況の中、総務省は全国の自治体へ、公共施設等総合管理計画(以下、総合管理計画)の策定要請を行い、現時点で全自治体が策定済みとなります。公共施設マネジメント(以下、公共FM)が全国的に取り組まれ、現在は縮減や複合化等の再編段階にあります。
一方で、総合管理計画の一律の要請を背景に、多くの自治体で、築年数と建設単価から単純計算される実体のない面積的な縮減目標が掲げられています。こうした縮減目標の下、面積が減らすことが目的化し、本来必要な、いかに利用者ニーズを満たすかの実体としての施設全体の将来ビジョンがないケースが多い状況です。
また再編を進めるための行政内の組織体制にも課題があると感じております。総合管理計画策定をきっかけに、自治体において、新しく部署や、部署横断的な議論の仕組みが誕生しました。しかし、まだ施設単体の主に改修を効率的に進めるかの体制・仕組みのように感じます。これからは施設全体から再編計画を検討する枠組みづくりが必要だと思います。
このように、総合計画計画を皮切りに、多くの自治体では縮減目標を掲げ、部署を見直し施設整備や再編に取り組まれ始めましたが、施設全体の将来像・ビジョンはまだまだ掴めていないことが現状の課題と思います。
一方で、公共施設の将来像を形成する方法論はあまりありません。私は、公共FMの新たな指標「施設魅力度」を定義し、その指標を活用しながら、利用者ニーズを反映した将来像をどのように形成していくかの定量的な方法論を検討しております。
また将来像をつくるにあたっては、定量的な検討だけでは決まらず、自治体の地域特性や実情、各部署・主体の合意形成の中で決定されるものと思っています。そうした根拠に基づいた定量的・客観的データが、どのように自治体の目指す、見合う姿・再編へ着地していくのか、体制や仕組み、協議、対話とともに、実態の伴うプロセス・方法論の構築を目指しております。
(さいとう こうじ)