環境学と私
このコーナーでは、環境学研究科の教員や修了生がそれぞれの関心や出来事について広く語りかけます。
サンゴ礁を読み解く:地質学者としての探究と協働

地球環境科学専攻
HUMBLET Marc Andre (ハンブレ マーク アンドレ) 准教授
本教員のプロフィール
私はベルギーで生まれ、同国のフランス語圏に位置する公立研究大学であるリエージュ大学で地質学を学びました。学部課程の頃、ベルギー南部のシメー近郊に分布するデボン紀の化石サンゴ礁を初めて訪れました。デボン紀は約4億2,000万年前から3億5,900万年前までの6,100万年間に及ぶ地質時代です。これらの化石礁は景観の中で独特の丘陵を形成し、地域で伝統的に建材として用いられてきた石灰岩の重要な供給源でもあります。私は、これらの古代の生態系とそこに含まれる豊富な化石に魅了されました。化石礁の中に露出した鋭く切り立った採石場の壁は、失われた世界とその多様な海洋生物をのぞき見る窓のようでした。
化石サンゴ礁への私の興味は決して薄れることがありませんでした。修士課程において北大西洋の古海流を復元するための地球化学研究を行った時期を除けば、私は主に化石サンゴ礁の地質学、特に過去260万年間に及ぶ第四紀に形成されたサンゴ礁の地質学に焦点を当ててきました。
地質学者にとって、あらゆる岩石は地球とその進化の物語を内包しており、サンゴ礁石灰岩も例外ではありません。その記録は、サンゴ礁の誕生、成長、消滅、群集構成の変化、そしてそれらが気候変動や海水準変動といった環境変化とどのように関係しているかを語っています。過去を理解することは未来を見通す手がかりとなります。岩石から得られる情報は自然の仕組みに関する根本的な洞察を与え、将来の環境変化とその生態系への影響を予測するために不可欠な知識となるからです。
私の研究では、露頭で観察される化石サンゴ礁の断面や、掘削によって採取された試料を調べています。誰も見たことのない化石や堆積物が現れる新鮮な切断面を初めて観察する瞬間には、いつも胸が高鳴ります。また、研究を通じて沖縄、タヒチ、ハワイ、セーシェルなどの美しい場所を訪れる機会に恵まれていることにも大きな喜びを感じています。
しかし、私の仕事で最もやりがいを感じるのは、これまで築いてきた多くの共同研究です。チームの一員として、自分の専門性を活かしながら共通の目標に向かって協働することは、本当に得難い経験だと感じています。


(はんぶれ まーく あんどれ)