研究科について

研究科概要

研究科長メッセージ

サステナビリティを支え続ける環境学研究科

環境学研究科長 谷川 寛樹

名古屋大学大学院環境学研究科は、理学、工学、人文・社会科学が融合した学際的な研究科で、「地球環境科学専攻」「都市環境学専攻」「社会環境学専攻」の3つの専攻から構成されています。2001年に日本で初めて文理融合型の大学院研究科として設立され、「持続性学」と「安全・安心学」を2つの柱として教育と研究を進めてきました。

創設から四半世紀が経ち、これまでに修士・博士課程合わせて3000人以上の卒業生を輩出しています。彼らは「専門性を持ったジェネラリスト」や「異分野を理解できるスペシャリスト」として、世界中のさまざまな分野で活躍しています。

目の前の問題には必ず原因があります。その原因も別の原因から生じていることがよくあります。環境問題のような複雑な課題は、問題が新たな問題を生む仕組みをシステムとして解き明かす必要があります。そのため、見えない場所や時間の中で起きた出来事を、現在の問題と結びつけるための知識と想像力が求められます。

環境学研究科が取り組む「持続性学」は、長い時間や広い地域の視点から歴史を振り返り、未来のために私たちが何をすべきかを考える学問です。これは、人類の持続可能性(Sustainability)を考えるための重要な視点を提供します。一方、「安心・安全学」は、人類の生存を守り、豊かな生活(Well-being)を実現するための学問です。この分野では、自然災害や環境汚染による健康被害、都市化や過疎化といった問題を、地域と地球規模の両方の視点から捉える必要があります。これら2つの学問は深く関わり合っています。地球全体の環境問題を俯瞰的に考える「持続性学」と、人や地域に焦点を当てた「安心・安全学」の両方を総合的に考えることが重要です。

環境学研究科では、皆さんが「持続性学」と「安心・安全学」を体系的に学び、「専門性を持ったジェネラリスト」や「異分野を理解できるスペシャリスト」として成長することを目指しています。そのために、2年間の博士前期課程と3年間の博士後期課程を設けています。博士前期課程では、環境問題を文理融合の視点で学ぶ「体系理解科目」を通じて、多角的な視点を養います。さらに,専攻ごとの「専門科目」を通じて、スペシャリストとしての素養を涵養することができます。一方、博士後期課程では「研究科共通科目」を通じてスペシャリストとしての専門知識を深めるとともに、多様な分野の研究者と議論を行い、自分自身の視点で真理を探究する力を育みます。また,イノベーションを創出し、世界的な社会課題を解決に導く原動力として博士人材に注目が集まっていることから,研究科では,博士後期課程での教育も重視しています。博士後期課程への経済的な負担を減らすため、国や大学、研究科が提供する支援プログラムも充実しており、安心して進学できる環境を整えています。ぜひ名古屋大学博士課程教育推進機構のサイトをご覧ください。博士前期課程の皆さんには、ぜひ博士後期課程への進学を検討していただきたいと思います。

名古屋大学大学院環境学研究科は、持続可能な未来を担う次世代リーダーを育成するとともに、新たな「環境学」の創造に向けて挑戦を続けてまいります。