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パリ・ヴァル・ドゥ・セーヌ国立高等建築学校と合同建築・都市設計ワークショップを開催

大学院環境学研究科都市環境学専攻建築学コースは、2024年9月23日(月)から27日(金) までの5日間、フランスのパリ・ヴァル・ドゥ・セーヌ国立高等建築学校(ENSAPVS)を主会場として、ENSAPVSと合同で国際学生建築・都市設計ワークショップを開催しました。「Feminist Pathways in Paris」と題された今回の課題は、今夏に開催されたパリ・オリンピックの開会式で登場した10名のフランスの女性偉人の黄金像とともに新たな公共空間を創造する提案が求められました。今回はENSAPVSの大学院生及び留学生9名と本学の建築学コース博士前期課程1年の大榎真由さん、片野翔太君、喜多村晃成君、日比野雅俊君の4名が参加し、4つの混成チームに分かれて本課題に取り組みました。ENSAPVSの参加学生10名の国籍はフランス、イタリア、ブラジル、アルジェリアと多彩で、これまで以上に国際性の高いWSになりました。本WSの指導はENSAPVSのBoris Weliachew教授と本学の小松尚教授が行いました。

ENSAPVSと名大のWSは2009年4月以降、両大学の間で締結された学術交流協定に基づき実施されています。毎年4月に名大で、9月にパリで開催しており、パリでのWSに本学の大学院生が参加するのは今回で12回目になります。なお、このWSには中国の天津大学建築学院も名大との間で締結された学術交流協定に基づいて参加していましたが、昨年に引き続き今年も、天津大学は大学の事情により残念ながら不参加でした。

今回の課題は、オリンピックの開会式で紹介された10名のフランス女性の偉人の黄金像を展示しながら、パリの都市空間の課題解決やあらたな都市の公共空間のありかたを提案するものですが、提案対象となる敷地は、各チームがそれぞれパリの都市空間の中で設定しました。参加した本学の院生は本課題の分析や建築・都市デザインの提案に参考となる先進事例の事前学習を行って、WSに臨みました。

WSは例年通り、まず初日にENSAPVSの担当教員から本課題の説明とともに、パリの公共空間の歴史や世界の類似例についての講義を受けた後、各チームが課題内容の読み取りと提案にふさわしい敷地候補の検討を行い、現地に赴いて具体的な検討及び提案点について検討し、提案敷地を決定してデザイン検討を開始しました。2日目以降はチームで検討作業を行い、3日目には中間発表会、5日目の夕方には成果発表会を行い、各チームが分析結果と提案内容を図面(A0判2枚)と模型で発表しました。成果発表会にはENSAPVSのPatrice Ceccarini教授も参加し、意見交換と講評を行いました。混成4チームは、セーヌ川両岸を結ぶ橋や、川沿いに走る道路下の忘れられた空間、暗渠となった運河、リュクサンブール宮殿の視線軸といったパリの既存都市空間を再評価しながら、「Feminist Pathways」という課題を重ね合わせて、都市や社会に存在する様々な二元論を超えたデザイン提案の模索を果敢に行いました。

なお、本ワークショップに参加する院生の派遣は、独立行政法人日本学生支援機構の令和6年度海外留学支援制度(協定派遣)採択プログラムとして実施し、教員の派遣等は環境学研究科研究科長裁量経費の支援を受けて実施しました。

《参考》今回および過去のWSの様子や成果については、下記ウェブサイトで紹介しています。
https://www.nuac.nagoya-u.ac.jp/unique/index.html

参加者集合写真(5日目)