知の共創プログラム

公開コロキウムの実施実績

第5回公開コロキウム

日時
2024年8月1日(対面)
発表者
三輪 晃司
タイトル
移動体オフグリッド構想 ー車両のロス回収を基軸とした人とエネルギーの新たな循環の構築ー
要旨
本研究は、トラックやバスなどの商用車が捨てている減速エネルギーを回収して「走行以外」に活用することで、人手不足が深刻な貨物・旅客輸送の労働環境を良くする(人が集まり、定着する)施策に繋げると同時に、資源が少ない日本に於いてエネルギーの節約と大気環境の改善(CO2削減など)を図ることを目的としている。
今回の報告は2つのパートで構成する。
1章では直近の研究の取り組み事例を紹介する。
2章では今後の研究計画について討議を行う。
討議の目的は、研究成果を社会へ資するために、将来的に環境施策の提案を試みたいと考えている。そのためにはどういった検討を取り入れるべきか、多方面の識者が集まる本コロキウムにて意見を伺いたい。

第4回公開コロキウム

日時
2024年7月25日(オンライン)
発表者
片岡 良美
タイトル
社会課題解決を目指す学際的な共同研究の内部者によるラボラトリー・スタディーズ――学問分野の垣根を越えた融合とは何か?
要旨
環境問題などの社会課題解決に資する学術研究のあり方として、異分野研究者の協働による学際研究の重要性が広く認識されている。一方で、学際研究の困難や、学際研究における分野間の不均衡などが指摘され、実際にそうした困難をどう乗り越えるかは、未だに当事者の暗黙知や経験則によって模索されるに留まっている。本研究は、報告者が参与した総合地球環境学研究所における学際的な共同研究プロジェクトを対象とし、異分野研究者間で何がどう語られたのか、民族誌的な記述と分析を行なうことで、学際研究の可能性を具体的に検証することを目指す。本報告では、個々の研究者が学際的な共同研究の経験をどう受け止めているのか、その意味づけを問うインタビューをとりあげ、参与する共同研究のあり方・異分野間コミュニケーションを「メタ的に」捉えることで、それらを自覚的に実践に還元可能なものとすることの方法論とその意義を検討する。

第3回公開コロキウム

日時
2024年7月11日(オンライン)
発表者
山﨑 慶太
タイトル
建築史研究に気候変動の視点を加える −知りうるかぎりの世界・分野の情報を集めた総合的な視野に立った「生きた日本人の建築の歴史」− :日本建築史における室礼と衣・食・住の変遷に関する研究
要旨
まず、「社会・文化・宗教」によって形成される「様式」と「庭」、「建築技術」、「資源(森林)」、「環境(気候変動) 」、それぞれの日本建築史への影響について検証した。結果、住民は、室温の制御にほとんど関与せず、日本の家は、文化的な表象であり、全ての日本人の感覚が簡易な住居が美しいと見なしていることから、日本建築史は、「様式」、「建築技術」、「資源(森林)」に依存し、蒸し暑い夏の暑さ対策を除く「環境(気候変動)の影響」は小さいと想定された。そこで、知りうるかぎりの世界・分野の情報を集めた総合的な視野に立った「生きた日本人の建築の歴史」として、グローバル化した現在の地球の「ミニチュア・アナロジー」、18世紀後半~19世紀後半の江戸の都市社会を取り上げ、この時代の衣・食・住様式に着目し、「採暖・調理様式とエネルギー消費の変遷」と「武士、農民、商人、寺院それぞれの土間床・板床・畳床と夜具・布団の変遷」を、研究テーマとして挙げた。

第2回公開コロキウム

日時
2024年6月27日(オンライン)
発表者
菱田 崚介
タイトル
不特定多数で混雑する駅コンコースにおける人流特性解析と空間評価
要旨
不特定多数で混雑する大規模な鉄道駅のコンコースにおける人流特性は、通行者・滞留者の混在、多様な属性種別、時間変動性などの性質を有するが、現状の流動実態について十分に観測・評価できていない。本研究では、視認性の悪い大規模駅コンコース実空間において、高精度な人流計測・トラッキング手法を検討・実測し、歩きやすさ等歩行空間の定量的評価指標を構築する。今回の発表においては、研究背景や研究計画の全体像、活用先ユースケースについて報告する。

第1回公開コロキウム

日時
2024年6月6日(オンライン)
発表者
米田 立子
タイトル
国際的な食料・農業レジームにおける地球環境保全規範の受容過程ー論点の変遷とガバナンスの変化−
要旨
「20世紀後半からの国際的な議論の流れを踏まえ、気候変動対応や生物多様性保全等、「地球環境を保全すべき」との命題は、最早疑義が付されることのない国際規範であると言える。しかし、自然環境に大きく依存する食料・農業分野においては、21世紀に入っても、セクターとして地球環境保全に主体的に関与すべきとの認識は薄かった。本発表では、伝統的な争点領域である国際的な農業・食料分野において地球環境保全の命題がどのように受け入れられていったか、また変化が起きた時期を、規範研究のアプローチから分析する。さらに変化の要因を明らかにするとともに、その後の規範浸透に向けた取組に着目することで、今後の地球環境ガバナンス向上への手掛かりを模索する。」