名古屋大学大学院 環境学研究科
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 D2-1 (510)
知の共創プログラム
公開コロキウムの実施実績
2022年度秋学期全体報告会
- 日時
- 2023年3月3日(金)14時~17時
- 発表者
- 塚原 沙智子、井上 智博、牛山 希実子、紀平 真理子
- テーマ
- 環境学のポテンシャルとジレンマ ~社会におけるアカデミア~
- 要旨
- 大学は社会に開かれ、社会と互いに対等な立場で超学際的に協働することが求められている。しかし、アカデミアに対する社会からの期待が高まる反面、現場のステークホルダーと学術的な成果を追求しなければならないアカデミアとの間で、目的が一致しないなど様々なズレも生じている。そこで今回の全体報告会では、社会人学生からなる知の共創プログラムメンバーが各学生の所属組織での事例調査をもとに、各学生が所属する組織を含む「社会」から大学や研究機関の「アカデミア」への期待を明らかにするとともに、アカデミアと社会との間にあるジレンマについて論じた。その上で、知の共創プログラムメンバーの教員を交えたパネルディスカッションを通じて、アカデミアが研究成果を社会に還元する際のポテンシャル・ジレンマ・課題をとりまとめ、社会とアカデミアのよりよい関係を構築する手がかりを探った。
2022年度春学期全体報告会
第8回公開コロキウム
- 日時
- 2022年12月8日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 山下 紀明
- タイトル
- 地域における太陽光発電ゾーニング検討のための可視化ツールとワークショップ手法の開発と効果の検証
- 要旨
- 世界的な脱炭素化の潮流において、再エネはコベネフィットも含めて重要な役割を果たす。特に太陽光発電は大きなポテンシャルを持つが、日本での大量導入には社会的受容性に関わる課題があるため、社会的・制度的な解決策の一つとして地方自治体によるゾーニングを取り上げる。今回は、問題の背景とゾーニング策定過程に参加している地域での検討状況をもとに、GIS(地理情報システム)を用いた支援ツールの考え方および支援ツールを用いた合意形成のためのワークショップの構想を紹介する。
第7回公開コロキウム
- 日時
- 2022年11月17日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 丹羽 美春
- タイトル
- 「新しい博物館のあり方」現状分析とこれからの課題
- 要旨
- 地方の博物館の多くは人員不足、施設の老朽化などさまざまな問題を抱えている。突き詰めると、その要因は予算不足に帰着するにも関わらず、近年、博物館法の改正、デジタルトランスフォーメーション化及びSDGsと、博物館に求められる役割はさらに多様化し、これまでのように教育の場にとどまるのではなく、博物館側から社会へ発信する必要が生じてきた。その一例として、子供たちへの郷土学習の充実も求められている。このような課題解決の試みの一つとして、愛知県に存在する中央構造線を取り巻く地質と文化をモデルとして「新しい博物館」は持続可能な社会への貢献ができるかについて議論を試みる。
第6回公開コロキウム
- 日時
- 2022年10月27日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 米田 立子
- タイトル
- 「持続可能な食料システム」概念の発展と新たな課題
- 要旨
- 近年、食料や農業と持続可能性との関係を議論する枠組みとして、「持続可能な食料システム」という概念が国際社会で浮上している。この概念では、生産や流通消費を縦割りではなく包括的に捉えるとともに、各国の自然条件の差にも着目し、画一的なルールを作らないという特徴がある。今回の発表では、この新しい概念が、従来の農業をめぐる国際的な議論が先進国と途上国との対立で隘路に陥った現状を解決するのか、従来の議論の系譜や新たな対立点を紹介しつつ検討を行う。
第5回公開コロキウム
- 日時
- 2022年10月6日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 佐藤 則子
- タイトル
- 住民の自治活動を支える地域コミュニティの場の形成
- 要旨
- 日本における地方自治の役割は歴史とともに変化し、それと歩調をあわせ合併によって市町村域も拡大してきた。一方で人々が暮らす地域の自治を支え続けてきたのは、近世町村的な範域を持つ地域コミュニティである。しかし近年、産業構造の変化に加え、人口減少、超高齢化などの要因から地域コミュニティの担い手が減少し、全国的に大きな課題となっている。今後、地域が自律的に存続し続けるために必要なことな何か、調査事例をもとに考察したい。
第4回公開コロキウム
- 日時
- 2022年7月21日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 塚原 沙智子
- タイトル
- ローカルレベルでの循環経済移行における地域金融の機能について
- 要旨
- 持続可能な経済社会システムへの移行に向け、環境分野における膨大な資金需要を満たすための仕組みが必要とされる中、金融機関を介したESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮した資金の流れが急速に広がっている。こうした動きは、上場企業の気候変動分野での取り組みが先行する一方、ローカルな領域を牽引する機能として、地域金融の役割に注目が集まっている。地域金融は、地域への資金の供給やエコシステム構築を主導しうる重要な仲介者となりうるのか。循環経済をテーマに、研究調査のアプローチを模索したい。
第3回公開コロキウム
- 日時
- 2022年6月30日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 牛山 希実子
- タイトル
- バイオマス資源を活用した地域内循環デザイン ~エネルギー、窒素、リンのフローの観点から~
- 要旨
- 持続可能な循環型社会とはどのような状態か?100年後の日本社会で私達の子孫は基本的な生活基盤が満たされているだろうか?課題が山積の現代社会ではあるが、エネルギー、食料、水の需要と再生可能資源からの供給ポテンシャルが一致するような最適な需要・供給構造を、炭素、窒素、リンの循環に着目してデザインすることに挑戦し、1つの形を示したい。今回は研究概要および現状の循環を把握するため生活排水や廃棄物の処理技術の紹介を行う。
第2回公開コロキウム
- 日時
- 2022年6月9日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 紀平 真理子
- タイトル
- マルチステークホルダー型の技術開発におけるイノベーションの順応的管理方法 ―生物性土壌診断技術を事例として―
- 要旨
- 多様な主体がパートナーシップを形成しプロセスに関与する「マルチステークホルダー型の開発」が注目されている。農業分野においても、持続可能な低環境負荷型農業へ転換のために協働で技術開発が試みられているが、重層的な不確実性が伴い困難を極めている。どのように利害の異なるステークホルダーの齟齬をふまえ整合性を図ればよいのだろうか。生物性土壌診断技術を対象として、農業現場の実態も交えた研究概要と今後の展望を示したい。
第1回公開コロキウム
- 日時
- 2022年5月19日(木)16時30分~18時
- 発表者
- 井上 智博
- タイトル
- 水田の変遷からみた人と自然の関係史 ―地形変化・気候変動に適応した沖積低地の土地利用―
- 要旨
- 最近、甚大な被害をもたらす水害が各地で発生し、沖積低地の地形・河川活動や土地利用への関心が高まっている。土地の歴史や地理を知り、先人の工夫から持続可能な土地利用のあり方についてのヒントを得るためには、どうすればよいのか。「知の共創プログラム」において、河内平野(大阪府)の考古遺跡の発掘調査データを用いて進めようとしている研究の概要を紹介し、今後の展望を示したい。