知の共創プログラム
参加学生の声
齋藤 芳子(社会環境学専攻)
知の共創プログラムについて、じつはよく知らないまま受講生になりました。学内に自身の職場があるというのに、面目ない限りです。1年目秋の公開コロキウム全体セミナーでは、職種も年齢も異なる同期の皆さんとご一緒させていただき、セミナー(という名のミニシンポジウムのようなもの)の企画・登壇をしました。 現在の研究関心も互いに異なるなか、横串を通せるようなキーワードをみつけ、その不慣れなキーワードについてCiNiiやGoogle Scholarであれこれ調べ、ほかの登壇者の発表内容に関連して図書館で本を借り・・・相応の時間はもちろん費やしましたが、こんなことでもなければ敢えて調べることもなかったであろう多くの知識に触れることができました。 純粋に楽しかったです。そこで関係が深まった同期の皆さんは、いまはなんだか同志のような気分ですし、他方で、ほぼ大学しか知らない私にとって世の中のリアルを教えてもらえる存在であったりもします。 また、年に数回開催される公開コロキウムもふくめ、さまざまな学問分野の先生方・先輩方からのご質問や意見交換では、私にとっては意外な視点から切りこんでいただけるドキドキがあり、いつも多くを気付かせてもらえています。 学問と実践、それぞれにおける専門知が対話を通じて交換されていく様には、独特の高揚感があり、このプログラムならではの時間を過ごさせていただいてます。
山﨑 陽子(社会環境学専攻)
私は旅行会社に勤務し、地域への誘客業務に携わっています。博士前期課程は別の大学院で学びました。当時の指導教員の退職とともに修了したため、博士後期課程への進学はあまり考えていませんでした。そんな中「知の共創プログラム」の存在を知りました。社会人として働きながら学べるこの仕組みに、業務を通じて感じてきた問いを学術的に深めたいと思い、挑戦することにしました。
私の研究テーマは、観光産業の労働市場です。観光地の魅力や戦略がいかに優れていても、それを支えるのは「人」です。観光産業の持続可能性を考えるとき、華やかな集客施策の陰で、そこで働く人々の労働環境や人材の確保・定着といった課題が置き去りにされていないか。そうした問題意識が、私の研究テーマの出発点となっています。
本プログラムには多様な分野の社会人学生が参加しております。コロキウムでは専門外の学問領域に触れる機会があり、毎回大きな刺激を受けています。自分の研究については、様々な視点からご指摘をいただくことで、気づいていなかった論点の不足を発見することができました。所属講座の枠を超え、異なる専門を持つ方々との対話は、私にとって研究の視野を広げる大きな財産となっています。
遠隔地からの参加ではありますが、オンライン環境を整えてくださるなど教員の方々のお気遣いに感謝しつつ、のびのびと研究に向き合いながら着実に前進していきたいと思います。
宮澤 賢治(社会環境学専攻)
私は現在、地域エネルギー会社の経営に携わりながら、博士後期課程で「地域エネルギーシステムと社会的な合意形成」をテーマに研究しています。
地域新電力や太陽光発電PPA等の実務の最前線に身を置く中で直面したのは、技術的・経済的合理性だけでは解決できない「地域への効用」や「持続的な経済循環」への共感と実装という壁でした。こうした課題に対し、より多角的な視点から地域社会を捉え直す必要性を感じ、本プログラムへの参加を決意しました。
20年ぶりの学生生活では、社会学をはじめ経済学や工学といった多様な講義を通じ、仕事にも良い刺激を受けています。また、コロキウム等での異分野の社会人学生との交流は、自分の専門性を「翻訳」し、他者の視点を取り入れる貴重な訓練の場です。実務家として「答え」を急ぎがちな自分にとって、問いを深めるこのプロセスは、研究者としてだけでなく、経営者としての意思決定にも大きな深みを与えてくれています。
私の目標は、得た知見をこれまでお世話になった地域社会に還元することです。実務経験と学術的知見を融合させ、地域エネルギーが核となる「持続可能な地域づくり」を実現したいと考えています。 「知の共創」とは、現場の課題と学問の知恵を結びつけるプロセスそのものです。ここで得た多角的な視点と対話を武器に、次世代に誇れる地域社会の構築に貢献していく決意です。